リンパ液について

リンパ液についてとリンパ系・リンパケアの歴史

よく、リンパの流れがどうこうっという話を聞く事も多いと思いますが、
正確にいうと、リンパではなくてリンパ液のことを指します。

リンパには、リンパ節、リンパ管、リンパ液があり、流れる液体を「リンパ液」といいます。

リンパの英語表記はlymph、ラテン語表記ではlymphaです。
語源はギリシャ神話のnymphで、山や水、森などの精で、乙女の形をとる女神です。

Nymphからlymphaへと変化したのですが、リンパの語源がnymphなのは、
リンパ液がほぼ透明だから考えられています。

リンパ液については、紀元前5世紀に医学の父ヒポクラテスが「白い血」と表現していたとされています。

その後も、いまでいうリンパ系が研究されましたが、
3世紀から15世紀までの間は宗教的な理由から解剖ができなくなりました。
16世紀にはリンパ系の一部のリンパ管についての記載がされるようになり、
16世紀後半、スウェーデンの解剖学者(オラフ・ラドベック)によってリンパの仕組が発見されました。

17世紀になるとさらに研究が進み、18世紀にはリンパ管の解剖書が刊行されました。

日本では江戸時代の18世紀に杉田玄白らが
ドイツの医師ヨハン・アダム・クルムスが書いた医学書の
オランダ語訳『ターヘル・アナトミア』を『解体新書』として翻訳しました。

『解体新書』では、リンパ系についても触れられています。
デンマークの精神科医(エミール・ヴォッター)は直感力、洞察力が優れており、
慢性的な鼻炎と静脈疾患で悩む患者に対し、リンパ液排出を試み
症状の改善が見られたことから、リンパマッサージの技術を開発しました。
これが1932年といわれています。

1936年にドイツの内科医(ヨハン・アスドンク)が、20,000人の患者に対し臨床テストを行い、
マッサージとの併用を強調されて以来、フランス、スウェーデン、オランダ、ドイツなど
ヨーロッパ各国で研究が盛んに行なわれ、医学的な手法が確立されて来ました。

その後、顕微鏡の発達や医学の発達にともない、リンパ系の研究は進み、現在に至っています。

現在、ヨーロッパ諸国では、リンパ系のシステム(リンパ液、リンパ節、リンパ管)が
生体にとって重要な免疫と排泄の二つの機能を担い、
リンパケア(リンパマッサージ)が、この二つの機能を高める事から、
医療行為の一環として、わが国でも医療分野で活用されています。

リンパケア(リンパマッサージ)とは、リンパの流れを促進する施術法です。
体内に必要以上に溜まった老廃物や毒素をリンパ液と共にリンパのゴール(鎖骨下)まで戻し、
最終的には静脈に合流させ、毒素や老廃物を排出させることを目的とした療法です。

日本ではリンパマッサージという言葉で伝わっていますが、
ヨーロッパではリンパドレナージュと呼ばれています。
当協会では2002年ころからリンパケアという名称で使用しています。

一昔前は、脳のリンパ管は認められていなかったので、脳にはリンパ液もないと思われていました。しかし、最近では脳内にもリンパ管が認められています。

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一般社団法人日本リンパ協会